第六回:基礎音声(発音)
ここでは基礎音声(発音)について、語学全般で共通する事について述べたいと思います。
基礎音声は、いわゆる発音の最小単位と考えてください。
発音について知る事は語学学習の第一歩と考えて良いでしょう。
母語を習得する際に、最初に覚えるのは発音でしょう。
脳の科学でも説明しましたが、脳内処理は基本的には意味解析の段階で発音重視です。まずここの段階の基礎を固めないと先には進めません。
そして小学校の国語の時間でも音読などの発声練習に多くの時間を割きます。 読む事、書く事も重要ですが、それは発音をある程度出来る様になった段階で視覚情報と発音が関係づけられます。
ここでは、その発音についてまとめたいと思います。 一番判りやすいのは英語の辞書で頻繁に出てくる発音記号についてです。
これは、実は、国際音声記号、別名IPA(International Phonetic Alphabet)と言われており、その簡略化表記された物が発音記号としてスラッシュ(/・・・・/)に挟まれて辞書に載っています。
国際音声と言うからには世界共通の記号です。 何故、世界共通かというと、国際音声学会によって各国の音声学者達が寄り集まって、事実上世界標準と言うべき音声表記の記号を定めているからです。
基本的には、IPAチャートという1つのチャートにまとめられていますが、各国によっては、複雑な表記になってしまう部分についてオプションとして追加の記号が割り当てられています。 日本語解説での詳細はこちらからどうぞ。
(日本語Wiki IPA)
また、この日本語のサイトの他、各国毎に作られていますので、自分が学習したい国のサイトのも確認した方がよいです。
理由は各サイトはその国の人によって書かれている為、IPAのその国にとって必用な箇所については特に詳しく述べてあることがあり、又はその国独特の拡張された記号についても説明があるからです。
因みに、このサイトで扱う言語については、日本語以外に以下のサイトが有ります。
(英語Wiki IPA)
(スペイン語Wiki IPA)
(中国語Wiki IPA)
サイトの左部分に各国の言語でリストが有りますので、欲しい言語のリンクをたどれば出てきます。
発音記号は、正確に口の動きや舌の動きを示しているので、これを覚えておくと、語学では大いに役に立ちます。
但し実際には、一般的に、ある単語をどのように発音するかについては、各国の言語によって、その表記が異なっています。つまりIPAを使用していない国もあり、日本でも使用していません。
英語圏を中心にラテン系では主にIPAの簡略版を用いることが多いです。これは辞書の発音記号でよく使われています。
その背景としては、IPA発端の当初はラテン系を中心として表記かが進められたと言うのがあります。
日本語の場合は、漢字にルビうちしますが、小学校低学年用の本にはひらがなが打ってあります。
中国語ではピンインと呼ばれるアルファベットに声調記号の付いた文字を漢字にルビ打ちします。
実はピンインはそれほど発音を正確には表現できていなく、精度的にはIPA記号のほうが高いです。
但し、中国でこのIPA記号は殆ど使われることがない現状があり、中国語発音練習では大きな壁となります。
日本人は、年少期にローマ字の学習が入っており、中国語でのアルファベットを使ったピンインをローマ字と間違って発音してしまうからです。
同じアルファベットを使ってもローマ字読みとピンイン読みが違う事を認識するのに時間がかかります。
中国語でも台湾では、注音記号と呼ばれる独特な発音記号を使用します。
元々、中国でも注音が使われていましたが、簡体字での普通話が制定される頃に、ピンイン表記に変更しました。
台湾では今でも繁体字を使っており、更に注音記号を使用しています。
因みに、香港など広東系の言語は中国でも特殊とされており、繁体字を使い、更に標準語である普通話とは全く異なった発音をしますが音声表記はピンインを使います。
中国語の辞書では、ピンインと注音の両方の表記がされています。注音表記は、ピンインより正確に音声を表現されていると聞きます。
漢字を使用する国が発音表記にIPAを使用しない理由の一つに、コンピューターの発達があり得ます。
コンピューターで使用するキーボードは基本的にアルファベットだからです。
漢字を入力する際にアルファベットで漢字変換が出来るようにするために都合がよいからだと考えられます。
日本語でもひらがなの他にローマ字を使用します。但し、直接かな入力も存在します。台湾では、注音変換が基本になっている為、台湾向けキーボードには、注音記号がキーボードに印刷されています。
中国ではピンイン変換を使用します。
IPA記号を用いると複雑な為、キーボード入力向きではないのです。
その他の言語、。。。。学んでいないので私には判りません。
しかし、世界的に共通なのはIPA記号なのでどの言葉であろうとこれと関連づけることが出来れば、正確な発音をすることができます。
IPA記号の説明で、先に紹介したサイトの日本語での説明では、
国際音声記号(こくさいおんせいきごう、IPA: International Phonetic Alphabet)は、あらゆる言語の音声を文字で表記すべく、国際音声学会が定めた音声記号である。国際音声字母(こくさいおんせいじぼ)、万国音標文字(ばんこくおんぴょうもじ)とも言う。1888年に発表された後、何度かの改訂を経て今日に至る。
と説明していますが、これを実際にどう発音すればいいのか、判らないと思います。
これを、まともに説明すると、この記号自体、世界中の言語学者、研究者が集まって作り出した物なので素人が簡単に説明することなど出来ません。
そこで、発音記号IPAをどう発音するのか知りたい方の為に、以下の本を紹介します。
脱・日本語なまり―英語(+α)実践音声学 (大阪大学新世紀レクチャー)
この本は、言語学的観点から、IPAをどう発音すればよいのかを万人に判りやすくレベルを下ろして説明しています。
基本は、日本語の発音をまず知ってから、その上で英語との違い、各国言語との違いについて説明してあります。
私は、この本を読んで目から鱗でした。
今までの発音に関する疑問が払拭すると共に、発音に対する世界観が変わりました。
また、日本語や中国語では実際の学習ではIPAを使用しませんので、正確な発音を知る場合は、それぞれの発音表記とIPAで表す場合の表記の対比表が必用となります。
サイトを探していると色々でて来ますので探してみてください。紹介している、IPAの発音方法の本にも載ってはいますが、少し見難いです。
念のために、私が知っているこの関係のサイトとしては、以下のものがあります。
(UCLA)
(アイオワ大学)
発音記号をキーボード入力したい人の為に、
(UCL)
尚、各国の発音の学習事項については、各言語毎の節で改めて、説明したいと思います。
(2010/05/05記)
誤記訂正(2010/05/05改)
キーボード入力とアルファベットの関係追記(2010/05/06改)
文書整形(2010/05/22改)
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