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Home>>語学学習>>Chinese 汉语(中国語)>>文法編>>第三回:中国語の文法単位
<中国語コラム(文法編)>の部屋へようこそ
 実は、現在ちまちまと書き続けている文法解説書があります。切っ掛けは、色々な中国の文法表現について、現在売られている文法解説書に基づいた作文や会話をしても、相手に通じないか、誤解を与えてします場面が発生しまして、
 その原因について色々と調べていく内に、中国語の文法を大きく誤解していると感じました。
 多くの文法書は、日本語や英語に使われている用語を使って説明していますが、それは既に私達が習得している用語なのでそこから説明した方が入りやすいと考えたようですが、実はそれが落とし穴で、中国語で使う用語の範疇と日本語や英語に出てくる同類と考えられる用語の範疇には、その言語の文化的背景を背負っている為、当然ズレが生じます。しかし、多くの文法書では、その事に触れずに解説を進める為、間違った解釈をしてしまうという物です。
 詳細を調べていくと分かりますが、日本語や英語の文法構文に当てはめる様なやり方では、中国語は成り立たないのです。文法構造の全く異なる言語と言っても良いでしょう。
 今回からは、現在記述中の中から、そのエビデンスを抜き取って、解説したいと思います。

<第三回:中国語の文法単位>
 中国語の文法を調べていくうちに、文法用語の意味やその要素の色々な分類方法、範囲が日本語や多の外国語と異なっておりズレが有る事が分かったので、先ずはその事について説明します。 中国語と日本語では同様の漢字を使って文法単位を説明する事がありますが、同じ漢字の単位を使っていてもその意味の範囲にズレがある場合や、全く違う意味となっている場合もあり、その違いを知っていないと誤解を招くおそれが高いですので注意が必要です。

 以下に、大まかに中国語、日本語、英語での相当する文法単位の用語について対比します。一見、同じ用語を使っている様に見えても、その定義の範疇は違いますので注意して下さい。
 ここを間違えると中国人が喋る中国語には成りません。


No  漢語   日本語   英語  
1  字 漢字1字
アルファベット1字
数字1字

文字
漢字1字、
ひらがな1字
カタカナ1字、
アルファベット1字
数字1字
letter
文字
アルファベット1字
数字1字
 語素  音声と意味が結合した最小文法単位。
(完全、抽象的のどちらも有する) 
形態素 音声と意味が結合した最小文法単位。
(完全、抽象的のどちらも有する)
stem
語根
word root,radicalともいい単語の基礎となる根源を示す。
接辞 単語の後に加えて意味を限定したり拡張したり、品詞を限定したりする。 prefix
suffix
接辞
prefixを接頭辞、suffixを接尾辞と言い、語根の前後に加えて語根の意味を限定したり拡張したり、品詞を限定したりする。
3  詞 独立して運用できる、意味を有する最小単位 単語 独立して運用できる、意味を有する最小単位(活用を伴う場合と伴わない場合がある) word word 独立して運用できる、意味を有する最小単位(活用を伴う場合と伴わない場合がある)
短語
詞組 
完成した文やセンテンス中の断片で句に相当する。  いくつかの文節が集合して1つの文成分を構成する単位。 phrase 複数のwordが合わさって、1つの文成分を構成する単位。
それ自体が文法上の1文として成り立つ文の単位 clause
それ自体が文法上の1文として成り立つ文の単位
5 句子 全体で意味の通る1文を表す。 句や単語、文節を組み合わせて、全体で意味の通る1文を表す。 sentence 複数のphraes,wordを伴って全体で意味の通る1文を表す。
6 句群 複数の文があるまとまりを持って構成し、1連の何かを表現するまとまりの単位。 段落 複数の文があるまとまりを持って構成し、1連の何かを表現するまとまりの単位。 paragraph 複数の文があるまとまりを持って構成し、1連の何かを表現するまとまりの単位。
7 文章 あるテーマに基づいて、書かれた1文若しくは複数の文、複数の句群の前体を示す。 文章 あるテーマに基づいて、書かれた1文若しくは複数の文、複数の段落の前体を示す。 composition あるテーマに基づいて、書かれたsentence若しくは複数のsentenceやparagraphの前体を示す。


 中国語と日本語では同様の漢字を使って文法単位を説明する事がありますが、同じ漢字の単位を使っていてもその意味の範囲にズレがある場合や、全く違う意味となっている場合もあり、その違いを知っていないと誤解を招くおそれが高いですので注意が必要です。詳細は各項で説明します。

中国では、主に次のような単位で文章を文字レベルの分解をし構成していると説明があります。
< 字 ⇒ 语素 ⇒ 词 ⇒词性⇒短语,词组(⇒词性)⇒句子成分⇒句子(单句, 复句)⇒句群⇒文章>

上記を日本語的に訳すと次のようになります。
<字,文字⇒形態素⇒単語(語)⇒品詞⇒ 句 (⇒品詞)⇒ 文成分 ⇒ 文(単文, 複文)⇒段落⇒文章>

同様に英語的に表現すると次のようになります。
<letter⇒word root⇒word⇒part of speech⇒phrase⇒element⇒sentence⇒paragraph⇒composition>
  レター    語根    ワード     品詞     フレーズ    エレメント   センテンス   パラグラフ   コンポジション

が、対比した英語の文法単位となります。
表では文成分に相当する対比は載せていませんが、それは文法単位と文成分の単位は切り離して考えている彼です。
成分に相当する単位を載せるならば、大体上記のあたりに来るだろうと言う位に考えて下さい。絶対的ではありません。

 まずここで注意が必要なのは、日本語の「句」に相当するものは中国語では「短语」または「词组」と呼ばれており、中国語で「句」または「句子」と呼んでいるものは日本語で「文」という点で、学習時に於いて勘違い、解釈の間違いが発生するおそれがある点です。

 日本語の「単語」と呼ぶ部分は中国語では「词」と呼ばれている点も注意が必要です。

 また、日本語には「文節」と言う概念が有りますが、中国語にはこの概念が存在しません。英語では、「句(phrase)」のことを、よく文節と呼ぶことがありますが、これは日本語の文節の意味とも違います。

 日本語の国文法上の文節の説明では、意味が分かり、発音上不自然に成らない程度に、出来るだけ短く区切ったまとまり。大部分は「自立語」と「付属語」を一対にして品詞や文成分を決定づけるもの。と定義されていますが、中国語の場合はひらがなの様な付属語はなく、品詞や文成分を決定づけるのは、単語や句を配列する位置、つまり句法に依るため、結果「文節」に相当するものがありません。

英語でも同様に日本語の定義に当たる「文節」はありません。英語ではどちらはと言うと、まとまった文章として成り立つ構成要素を「文節」「節」と呼ぶ場合があります。

句や文節に関わる例文を1つ紹介しましょう。

(日本語) 私が昨日買ったハンドバックが盗まれた。
( 英 語 ) The hand bag witch I bought yesterday was stolen.
(中国語) 我昨天买的手提包被偷了。

これらは、「私が昨日買った」の部分が無くても構文としての意味は成り立ちます。この部分を日本語では「句」と呼びますし、英語では「従属節」と呼び、中国語では「連語または短語」と呼びます。

 他の文献で、説明している時に使っている単位が、どのレベルなのかは把握しないと誤った解釈のまま理解してしまう事もあるので気をつけた方が良いです。



(2010/12/04記)